パネライ

パネライの歴史は1860年にイタリアのフィレンツェで創業者のジョバンニ・パネライが時計店をスタートさせたことから始まります。
当時はまだ腕時計という概念自体がメジャーではなく、時計店と輸入された時計などを修理する時計工房を兼務して営業していました。また、フィレンツェ初の時計学校として機能していたことも有名な話です。
転機となったのは1910年に夜光塗料の「ラジオミール」を自社開発したことです。時代は2度の世界大戦に向けて、各国が戦力の増強に余念がないときでした。
国土の大部分を海に囲まれているイタリアでは海軍の強化が必須であり、パネライの持つ高い技術力に目を付けたイタリア海軍はさまざまな機器の開発を依頼します。
期待に応え、精度の高い機器を納入し続けたパネライは、潜水時でも視認性が高いダイバーズウォッチの製作の依頼を受けました。
その結果生まれたのが、自社開発した夜光塗料を使用し、現代の人気コレクションの一つとなるラジオミールの原型です。
その後、1949年には新たな蛍光物質としてトリチウムを原料にした「ルミノール」の開発に成功します。
ルミノールを使用したコレクションは1993年に民間向けにアレンジして販売され、現在ではラジオミールと並びパネライを代表するアイテムの一つとなっています。

パネライという名前は通称で、正式名称は「オフィチーネ・パネライ」といいます。もともとは「G.Panerai & Figlio」という社名でしたが、1972年にディノ・ゼイが4代目社長へ就任した際に、社名を変更しました。
現在ではジュエリーやファッションブランドなども運営するリシュモングループの傘下に入っています。
パネライの特徴は高級腕時計ブランドであるにもかかわらず、腕時計やクロノメーター以外の機器も生産していることです。例えば、温度計や湿度計、気圧計といった機器も製造しています。
また、創業当初からイタリア海軍と強い結び付きがあったことから、潜水用の装備品メーカーとして携行深度計や潜水灯を生産しているのも特徴です。